クラウドでシステム構築することが珍しくない昨今だが、プラットフォームとしてよく聞くのがAWS、AzureとそしてこのGCP(Google Cloud Platform)だ。
GCPは前者二つと異なり、公式ドキュメントや日本語の書籍がまだ乏しく、精通している技術者もまだ少ない。
これからGCPを学ぶ必要がある方々へ向けて、数少ない出版物の中からGCP向けの入門書をピックアップしてみた。
ただどの書籍についても共通して言えるのが、あまり深いところまでは解説されていないということだ。
これらの書籍で浅く広くGCPの仕様とサービスを把握して学習のスタートダッシュを切り、実際にGCPのコンソールを触りながらマスターしていく必要があると思う。
ちなみに僕の周りでは、AWSやAzureを使っていた人たちがGCPも使い始めているといった状況だが、現場によっては初めてのクラウドがGCPというケースもあるのだろうか。
プログラマのためのGoogle Cloud Platform入門
完全初心者向けの、深くはないがわかりやすく書かれている本といった印象。
"プログラマのための"というタイトルの文言が気になる、"インフラ知識がない人"と読み替えることもでき、GCPだけでなくインフラ自体の基礎知識も解説してくれている。
もちろんGCPの経験が全くない方をターゲットに書かれているので、最初の1冊としてはおすすめである。
本書はGCPを使ってWebアプリケーションを動作させる基盤を作っていくという流れに沿っているため、プログラマというよりアプリケーション開発担当者にマッチしている印象。
具体的にGCPのサービスを使っていく前にWebシステムで利用される要素技術やネットワーク基礎の解説があったりとインフラ知識の補填もできるので、あまり知識に自信がないけどインフラを担当することになった方なんかにも向いていると思う。
GCPはネットワーク周りの仕様が非常に独特なので、一般的なネットワークの基礎と一緒に勉強してしまえばある意味効率良い…のかもしれない。
初めてアカウントを作って色々と情報を登録していく初期設定も画像付きで解説されているし、この1冊を通してコンテナ技術を使ったアプリケーション基盤を構築するところまでやれるので面白いと思う。
ただGCPのアップデートで、本に載っているコンソールの画像と実際のGCPの画面が異なっている部分があるのでご注意を。
Google Cloud Platform エンタープライズ設計ガイド
こちらは先の1冊とは少し対照的で、AWSなどでクラウドを利用したシステムの経験がある方がGCPのサービスを把握していくのに向いている。
というのも、GCP独自の特徴がAWSとの対比によって解説されており、AWSをある程度知っている必要がある。
内容はGCPの機能をサービスカットで紹介しており、全てではないが仕様頻度が高いサービスの仕様やユースケースを一通り学ぶことができる。
ただ深い解説というわけでなく、浅く広くGCPをざっくり学びたくて、かつAWSはある程度わかるという方におすすめ。
各サービスの細かい仕様は、GCP公式のドキュメントと併せて読むと良いだろう。
GCPの教科書
2019年4月に出たばかりの新しい書籍。
この本自体にも書かれているが、基本的に初心者〜中級者をターゲットとして書かれている。
目次に沿って学習を進めていけば、使用頻度の高いサービスやGCPの全体的な概念は問題なく学んでいける。
ただ、インフラ技術の基礎については知っている前提のためITやインフラ技術自体が完全初心者の場合には少し難しいか。
ネットワーク関連の知識など、基本情報や応用情報レベルはあって、クラウドにも手を出したいというレベル感があっていそう。
こちらもまた、AWSなど他のクラウドも少し触っていて、 GCPも学んでみたいという場合にも良いと思う。
何しろ1章丸ごと使って、AWSとGCPの対比や主な違い、どんなケースでどちらが向いているかが記載されている。